ナンプラーはヌクマムのオマージュ!?アジア二大魚醤の違い徹底解剖!

世界の魚醤

魚醤と言えば、東南アジアを中心に広く食される発酵調味料の一つです。  

その中でも、魚醤=ナンプラーと思っている人が多いくらい、タイのナンプラーは代表的な存在と言えると思います。  

そして、ナンプラーが有名すぎて少しかすんでいますが、タイの近隣国ベトナムにもヌクマムという魚醤があります。

国も近くて、使われている原料の魚の種類も同じ。

もちろん見た目も超似ているこれらの魚醤には、もちろん違いがあります。

私のイメージではヌクナムの方がナンプラーより甘みがあるイメージがあるんですが、いざ明確な違いは?と聞かれると正直、不安になってきて、もし瓶のラベルを張り替えられていたら気づかない気がしてきて…(笑) 

でも実はこのナンプラーのルーツはヌクナムだとか!

これはもうほぼ一緒認定してもいいのでは…ごにょごにょ。。

少し声が小さくなってきそうなところで、今回は、ベトナムの魚醤ヌクマムとタイのナンプラーの違いについて、徹底的に掘り下げていきます!

どっちが古い?ベトナムのヌクマムとタイのナンプラーの歴史とは?

ナンプラーは水を意味する「ナム」魚を意味する「プラー」を組み合わせた言葉。
ヌクマムは水や液体を意味する「ヌク」発酵食品を意味する「マム」を組み合わせた言葉で、どちらも似たような名付けられ方をされているのがわかります。

ところで、今やナンプラーが世界の魚醤の王様みたいなイメージがありますが、実はヌクマムのほうが歴史が古いってご存じでしたか?? 

しかも、ナンプラーはヌクマムをパクって作られたと言われているんです!!

完全に地位を奪われた感があるヌクマムの起源は遡ること1000年以上。  

 10世紀末に行われた行事でヌクナムを使った記録が残っていて、それからも度々、ベトナムを訪れた外国人が魚のソースをおいしく食べたという記録が歴史書などに残っていたりして古くから多くの人を魅了していたことが伺えます。 

一方、ナンプラーは20世紀になってからヌクマムを模倣してタイ人向けの魚醤を作ったのが始まりで、それまでは、ベトナムから輸入されたナンプラーを使っていたり、自家製で作った塩辛の上澄みを使っていたと言われています。

ナンプラーが実はめちゃくちゃ歴史が浅いことが衝撃ですよね!
ヌクナムを模倣して作っているだけあって、どおりで材料や製造方法が似ているわけです。

しかし、歴史が長くて国民からの愛され方は半端なく、ベトナムの人は1年で1人当たり4ℓを消費するヌクマム好きだとか!(日本での醤油消費量は1人当たり平均2.45ℓと言われています)

そして、味わってみると、やっぱり違いがありますよね。ではなぜ味に違いが出るのか、製造方法や原料のこだわりも見ていきましょう!

ヌクマムとナンプラーの原料徹底研究!味わいに違いが出る理由とは?

ヌクナムもナンプラーも原料は「カタクチイワシ」です。

一部、ヌクマムはコイの仲間の淡水魚や、ナンプラーはムロアジを使うこともあるようですが、基本はカタクチイワシ(アンチョビ)が多いです。

ベトナムで最高級品のヌクマムを作っているフーコック島と、タイのナンプラーを作っているラヨーン県はどちらもタイランド湾に面していて、材料としてはとても似ているのではないかな、ということがわかりますよね!

いずれもカタクチイワシに塩を加えて熟成されますが、ヌクナムは塩を20~25%添加して6か月から15か月ナンプラーは30~50%を添加して1年から1年半の熟成期間を経て上澄みを濾して作られます。

もちろん、熟成期間が長いほどまろやかになります。

ヌクナムの方がナンプラーよりも若干塩分濃度が低いことが、私が「ナンプラーよりヌクナムの方は甘みを感じる」と思った理由だったようですね!(間違ってなくてホッ)

例えるならば塩分濃度が低く熟成期間が短い白みそと、塩分濃度が高くて塩の角が取れるのに熟成したい一般的なお味噌、といったところでしょうか。

さらに、ヌクナムを使ってつくる調味料「ヌックチャム」にはお砂糖が使われるのでそのイメージもあったかも・・・(笑)

 

ベトナム料理とタイ料理で使われる魚醤の使われ方

ベトナムとタイは国も近くて、お料理も似ていますが、ナンプラーとヌクマムの使われ方に違いはあるのでしょうか。  

ナンプラーの使い方

ナンプラーはタイの伝統的な魚醤で、強烈な風味と高い塩分を持つ調味料です。それは魚と塩から発酵させて作られ、その特有の味はタイ料理に欠かせません。

  1. 料理の調味料:ナンプラーは、炒め物やスープに加えて料理のうま味を引き立てます。タイの国民食であるパッタイや、パパイヤのサラダのソムタム、全世界で人気のトムヤムクンといった料理には欠かせません。
  2. ドレッシング:ナンプラーは、酸味を加えるためのライムやレモン汁、辛さを加えるための唐辛子と混ぜて、風味豊かなドレッシングとしても使用されます。
  3. ディップソース:生野菜やスティック状に切った野菜のディップソースとして、またはそのまま食材にかけても美味しくいただけます。

ヌクナムの使い方

ヌクナムはベトナムの魚醤で、同じく魚と塩から作られます。これもまた強烈な風味を持ちますが、その使い方はベトナム料理に特有のものです。

  1. ヌクチャムのベース:ヌクナムはベトナムの伝統的なディップソース、ヌクチャムの基本成分として使われます。ヌクチャムは砂糖、水、酢またはライム、ニンニク、赤唐辛子と一緒に混ぜて作ります。これはゴイクン(生春巻き)やバインミー(ベトナム風サンドイッチ)、バインセオ(ベトナム風クレープ)に使用されます。
  2. スープの調味料:フー・ティウ(ベトナム風ビーフヌードルスープ)やブンボーフエ(ベトナムのスパイシーなビーフヌードルスープ)といったスープ料理には、ヌクナムが欠かせません。スープのうま味を引き立てる役割を果たします。
  3. テーブル調味料:ベトナム料理では、食事者が自分の好みに合わせて料理に加えるものとされています。そのため、テーブル上には常にヌクナムが置かれています。 

ヌクナムもナンプラーも同じような使われ方をしますが、ヌクナムの方が日本のお醤油のような量感覚で使えるイメージです。

まとめ

いかがでしたか?ベトナムのヌクマムとタイのナンプラーの違いをお伝えしました。

・ナンプラーのルーツはヌクマムだった!
・ヌクマムは熟成期間がやや短く、塩分濃度も低め。一方、ナンプラーは熟成期間も塩分濃度も高く、強烈な風味が特徴。
・ヌクマムはベトナムのヌクチャムやスープのベースとして使用され、ナンプラーはタイ料理の炒め物やスープに欠かせない調味料として活躍。

それでは、ぜひヌクマムとナンプラーを食べ比べてみてください。それぞれの個性的な味わいが料理に新たな魅力を与えることでしょう。ベトナムとタイの食文化を体験しながら、魚醤の世界を楽しんでください。食欲をそそる一皿が待っていますよ!

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