いしりといしるの魚醤対決!石川県能登半島の旨味を知り尽くす

日本の魚醬

日本三大魚醤の一つ「いしる」。
石川県能登半島の海で育まれた豊かな海の幸から生まれる魚醤は、その風味と深い味わいで多くの人々を魅了しています。

「いしり」「よしる」「いしる」「魚汁」などと呼ばれ、地元の特産品として長い歴史を誇り、愛されてきました。

いしるとは、一言で言うと「サバやアジやイワシ、またはイカの内臓を塩漬けにして数年発酵させることで作られた魚醤」です。

様々な名前があるのは訛りである説もあるのですが、厳密には「いしる」と「いしり」が別物であることをご存じでしょうか?

実は

いしる・・・アジ、サバ、イワシなどで作られているもの
いしり・・・イカのワタで作られているもの

と、原料まで違う全く別の魚醤なのです。

この記事では、同じ「いしる」と見せかけて材料も産地も異なる、「いしり」と「いしる」の違いとその魅力について迫ってみたいと思います。これから読み進めるあなたも、きっとその魚醤の深みに魅了されること間違いなしです!

それでは早速行ってみましょう!

いしるといしりの語源

いしるの語源は、「い」の「しる」
「い」とは「魚」
「しる」とは「汁」からきています。

一方「よしる」と言われる別名があるのは
撮れた魚の「余り」でとれる「汁」でよしる、となったと言われています。

そのいしる、よしるが訛りの過程で語尾が「しり」となったりして、いしり、よしりなどと言われるようになったようです。

でも訛りが強くなったら材料が変わるなんて、どういうことよ?!と思いますよね。

そこで、どこで作ってるの??っていうところまで見てみましょう!

いしりといしるはどこで作られている?

「いしる」は、輪島港(輪島市)・蛸島港(珠洲市)・福浦港(志賀町)といった漁港町で、

「いしり」は能登町にある小木港、宇出津港などの漁港町でつくられています。

とか言ってもピンとこないので地図で紹介しますね!

紫のところがいしる、青のところがいしりです。

この分布から、能登半島のなかでも日本海側ではアジやサバなどの青魚が良く揚がり、一方富山湾に面して入り組んでいる漁港ではイカが良く揚がります。
特に能登町の小木港は、実は北海道の函館や青森県の八戸と並ぶイカの産地で、むかしから新鮮な真イカがふんだんに手に入ります。

豊かな海と厳しい冬の風土という自然環境が魚醤の発酵を助け、独自の風味を生み出し、また、地元の人々の手仕事による熟練の技術が、これらの魚醤にさらなる深みと独特な味わいを加えていくわけですね。歴史を感じる調味料、好きです(笑)

ではそれぞれの製造についても掘り下げてみましょう!

いしるといしりの製造方法と特徴

「いしる」は主にサバやイワシの内臓と塩を混ぜ合わせ、一方、「いしり」は真イカの内臓と塩を混ぜ合わせ、それを一定期間置いて自然発酵させることで作られます。

この発酵過程により、いしるといしりは深い旨味と独特の香りを持つことになります。さらに、発酵が進むと魚のタンパク質がアミノ酸に分解され、それがそれぞれの旨味の源となります。

特筆すべきはいしりです。

鯖やイワシを使った魚醤は実は小規模ながらも日本各地で見かけるのですが、真イカの内臓をつかって自然発酵させ、熟成させる「いしり」は、実は全国でも能登町でしか作られていないのです。


能登町では材料の調達から製造、加工、販売までを一人の生産者で賄っていることも多く、まさに能登人がつくる、産地限定品なのです。

この土地の風土だからこそ、というのはイタリアのコラトゥーラもそうですが、このように地域を挙げて作っている限定品は守っていきたいなぁと思います。

守るためにも、しっかりわたしたちが使って、良さを伝えていきたいところ。
ではまだ使ったことない方も是非使っていただくためにおいしく使うコツもお伝えしていきますね。

いしるといしりの使い分け

いしるといしりを筆頭とする日本の魚醤は海外の魚醤より発酵時間が長く、香りがやさしくマイルドなのが特徴ではありますが、それでもやはり魚醤独特の香りが気になる方もいらっしゃるかと思います。

そんなときはぜひ「加熱して使う」これだけを守っていただければ、かなり使い勝手がいい物になると思います。

そしてサバやイワシなど青魚を使ったいしるは加熱するとうまみと深み、そしてDHAやEPAはいってて賢くなりそーう(あくまで筆者目線ですw)な味わいに。ごま油と相性がいいな!と感じます。

いかを使っているいしりは加熱すると甘みが出て含まれているタウリンで元気出る!という味わいになって、みりんなどと相性がいいな!と感じます。

一般的な醤油は塩分濃度13%~16%程度なのに対して、魚醤は20%~25%程なので、普段使いのお醤油感覚で使うと塩分の取り過ぎになることだけ、気を付けていただければ、うま味調味料要らずの万能調味料としてめちゃくちゃ重宝するとこ間違いなしです♡

まとめ

いかがだったでしょうか!

いしるといしり、その違いと魅力について詳しくお伝えさせていただきました。
能登半島の風土が育んだこれらの魚醤は、ただ材料が違う、というところにとどまらない、それぞれの独自の風味と深みを持っていると思っています。

ぜひ自分の料理にそれぞれを取り入れてみて、その味の違いと融通性を体験してみてください。
それぞれが新たな風味の発見をもたらし、あなたの料理の世界がさらに広がることを願っています。

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